富ちゃんポエム
「和」して「同」せず けれども「和」こそ人生はすべて
自分にきびしく他人に誠実であれ
思えば二十年前、十五才の春、大都会東京に望みをたくし、はるかな夢にさまよいながら、故郷をたった。忘れはしないあの日に
暖かさ テープにかけて 山あおぐ
港は寒し 旅立ちの日
夢の東京、あこがれの街、そこは灰色の空、コンクリートの固まり、
土を求めて歩いたことが懐かしい、受験に暮れた十七才の日々
難問に あたりし迷う 白い紙
友の書いたる 哀愁の詩
心きびしく、寒さはげしい夜、十九才の東京故郷は今、みかんの色づきと星野灯りが人の心を暖かくし、胸ふくらませているだろう
吹く風に 冬のわびしさ せまりくる
都の空に ひとり過ごせば
いつの日か、住み慣れた世田谷の下宿、花の香りか、黒髪か、ゆれる心にときめく胸、卒業論苦し、たたずむ窓際、深夜の二十一才
紅梅に 我をうつせば うぐいすの
こずえはるかに 道にささやく
神田学生街から勝浦青年会、より現実的な理想を求めて、夜を徹し若さをぶつけた二十三才、いつか眠った所が白いベッドの上だった。
床に伏す 我に力は ないけれども
なせるは心 明日への想い
首都東京の良さを、みかんの町にどう生かすか、燃やした情熱、マイク一本、声をかぎりに、そのまごころにすがった二十六才の初陣
火のごとく 燃える体に 汗にじむ
めざすは荒野 いまだ遠かり
妻は最愛なり、けれども、母の前で、妹の前で、あまり優しくしすぎないこと。
結婚の日、誓ったことがよくわかる三十才
妻と呼ぶ 嫁とは言わぬ 世間なり
まごころかよう 三児の母
人は皆、互いに理解することから全てが始まる、我、理解せざれば、人、理解せず。
子どもごころを大切に考えたいと思う三十五才の秋
お父さん 語るしぐさも いじらしい
酔いざめ近し 登校時間
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